半導体は“どこかで作られて終わり”ではなく、最終的に何かの製品に組み込まれて初めてお金になります。だからこそ「何に使われているか(用途別の需要)」を知ると、どの最終製品が伸びれば、どの半導体が効くのかが見えてきます。今回は2024年基準の需要構造を、用途別のシェアで分解します。
用途別シェア(2024年基準・概算)
半導体需要を最終製品で割ると、おおよそ次の構成になります。
| 用途 | おおよそのシェア | ひとことメモ |
|---|---|---|
| スマホ | 約21% | 最大の用途。台数の多さで稼ぐ |
| サーバー(データセンター) | 約14% | AIで構造的に拡大中 |
| 車 | 約12% | EV・自動運転で搭載数が増加 |
| その他 | 約11% | 幅広い機器に薄く広く |
| PC | 約9% | 買い替えサイクルの影響大 |
| 民生(TV・ゲーム・ウェアラブル等) | 約9% | 生活家電・娯楽 |
| 産業(FA・医療・エネルギー等) | 約9% | 景気変動に比較的強い |
| 基地局(通信インフラ) | 約8% | 5G/6Gの土台 |
| タブレット | 約2% | スマホ・PCの中間 |
出所: 業界資料(2024年基準・概算シェア/テレ東BIZ・SIA等)。端数処理や分類の違いにより、合計はちょうど100%にはなりません。あくまで“大きさの感覚”をつかむための目安です。
スマホとサーバーで1/3超 — 数の論理とAIの論理
最大はスマホ(約21%)。世界で年に十数億台が売れる“数の論理”で、半導体の最大の出口であり続けています。アップル(AAPL)をはじめ各社のスマホには、ロジック(プロセッサ)からメモリー、イメージセンサー(アナログ)まで、4種類の半導体がぎっしり詰まっています。
次がサーバー(約14%)。こちらは台数ではなく、1台あたりの高性能チップ搭載量で稼ぐ用途です。生成AIの学習・推論はデータセンターで行われるため、AIブームの直撃を受けて構造的に拡大中。エヌビディア(NVDA)のGPUが大量に積まれるのは、まさにこのサーバー向けです。「スマホ=数、サーバー=濃さ」と覚えると、両者の伸び方の違いが腑に落ちます。
“車”が半導体の大口顧客に — 1台に数千個
意外に大きいのが車(約12%)。かつてクルマの半導体は脇役でしたが、EV化と先進運転支援(ADAS)・自動運転で状況が一変しました。今やクルマ1台に数百〜数千個の半導体が載るとも言われ、パワー半導体(モーター制御)、アナログ(各種センサー)、ロジック(制御)が幅広く使われます。
つまり半導体は、トヨタ(7203)やテスラ(TSLA)といった自動車メーカーの競争力にも直結します。「クルマは走るスマホへ」という変化は、半導体の需要地図の上では“車という用途の比重が上がる”ことを意味します。
用途を知ると、ニュースの読み筋が変わる
用途別シェアを頭に入れておくと、ニュースの受け取り方が変わります。たとえば「スマホ市場が弱い」なら最大用途のロジック・メモリーに逆風、「データセンター投資が加速」ならサーバー向けGPU・HBMに追い風、「EVが普及」ならパワー半導体や車載に恩恵——というふうに、最終製品のニュースを半導体の“効き先”へ翻訳できます。
前回までに見た「半導体の4種類」「市場規模」と、この「用途別の需要」を重ねると、“どの種類の半導体が・どの用途で・どれだけ使われるか”という立体的な地図が完成します。
まとめ
- 半導体需要を用途別に分けると(2024年・概算)、スマホ約21%/サーバー約14%/車約12%/PC約9%などが上位。
- スマホ(数の論理)とサーバー(1台あたりの濃さ)で全体の1/3超。AIでサーバー向けが構造的に拡大。
- 車(約12%)は大口顧客。EV・自動運転で1台あたりの搭載数が増え、自動車メーカーの競争力に直結。
- 「最終製品のニュース → どの半導体に効くか」へ翻訳できると、需要構造が投資・ビジネスの理解に効いてくる。
本記事は情報提供のみを目的としたものであり、特定銘柄の売買や将来予測を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。市場規模・成長率はSIA(米半導体工業会)/WSTS(世界半導体市場統計)等の公表データ、用途別シェアは業界資料(2024年基準・概算)に基づきます。個社の財務数値はSEC EDGAR(一次データ)に基づきます。