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ビジネスモデル6分で読める2026-06-17
🔌 学習シリーズ「半導体を基礎から学ぶ」 第7回 / 全8

キオクシアとは何者か — 東芝が生んだNAND専業、AIで「記憶」が主役になった

スマホからAIサーバまで、世界中のデータを記憶するNAND型フラッシュメモリ。東芝が発明し手放した技術が、上場4年越し・AI特需で日本屈指の恩恵銘柄へ。

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3行まとめ
  • キオクシアは1987年に東芝の舛岡富士雄氏が発明したNAND型フラッシュメモリを源流とする日本発のメモリ専業メーカー。2018年に東芝から分社、2024年12月に東証プライム上場(285A)。
  • AIデータセンター向けNAND需要の爆発で、2024年3月期の▲2437億円赤字から、2026年3月期は売上2兆3376億円・純利益5544億円(過去最高)へ急回復。世界シェアは3位。
  • 強みも弱みも『メモリ専業』に集約される。AIの追い風と、価格が激しく振れるメモリ市況サイクルの両面で読むべき銘柄。累進配当の導入も表明。
数字で見る
キオクシア 売上
2.34兆円
前年比 +37.0%
キオクシア 純利益率
23.7%
本文に登場する主要数値の早見。出典は記事末尾を参照。

日本の半導体は「装置と素材は強いが、最終製品は海外勢」と言われがちです。その例外がキオクシア。スマホやAIサーバの中で実際にデータを記憶している半導体——NAND型フラッシュメモリ——を作る、数少ない日本発のメモリメーカーです。2024年12月に東証プライムへ上場し、AIブームで一気に主役級へ躍り出ました。その正体を、歴史・事業・数字の3点から読み解きます。

1. 生まれ — 東芝が発明し、東芝が手放した

物語は1987年、東芝の技術者舛岡富士雄氏によるNAND型フラッシュメモリの発明から始まります。電源を切ってもデータが消えない「不揮発性メモリ」で、いまやスマホ・SSD・USBメモリ・SDカードの中身そのもの。世界中のデジタル機器の「記憶」を支える基盤技術です。

ところが2017年、原発事業の巨額損失で経営危機に陥った東芝は、虎の子のメモリ事業を売却します。2018年、ベイン・キャピタルを中心とする日米韓連合が約2兆円で取得し「東芝メモリ」が独立。2019年に社名を**キオクシア(KIOXIA)**へ——「記憶(きおく)」とギリシャ語の「価値(axia)」を組み合わせた造語です。日本の優れた半導体技術が、いったんファンドの手に渡った瞬間でもありました。

2. 事業 — 「記憶」一点に賭けるNAND専業

キオクシアの事業はシンプルで、NAND型フラッシュメモリとSSDに集中しています。生産は三重県四日市と岩手県北上の自社工場。米ウエスタンデジタル/サンディスクと長年の製造合弁関係を持ち、巨額の設備投資を分担してきました。

NANDの世界シェアはサムスン電子、SKグループ(SK hynix+Solidigm)に次ぐ世界3位。半導体メモリにはもう一種類「DRAM」がありますが、キオクシアはそこには手を出さず、NAND一本。この「専業」は長らく弱みと見られてきました。市況が悪化すれば逃げ場がないからです。実際、2024年3月期はメモリ価格暴落で**▲2437億円の純損失**を計上しています。

3. 転機 — AIが「記憶」を主役に変えた

潮目を変えたのが生成AIです。AIデータセンターは膨大なデータを高速に読み書きするため、大容量・高速のSSD(=NAND)が大量に要る。クラウド大手からの引き合いが急増し、NAND価格も上昇しました。キオクシアは2026年のNAND生産能力がすでに完売と表明。「専業」という弱みが、AI特需では一点集中の強みに転化したのです。

数字がそれを物語ります。

売上収益純損益
2024年3月期約1兆766億円▲2437億円(赤字)
2025年3月期1兆7064億円(+58.5%)+2723億円(黒字転換)
2026年3月期2兆3376億円(+37.0%)+5544億円(過去最高)

非GAAP営業利益は8762億円(前年比+93.4%)で、東芝メモリ時代を含めた過去最高だった2018年3月期(4791億円)を8年ぶりに更新。わずか2年で「巨額赤字の会社」から「日本企業屈指のAI恩恵銘柄」へと姿を変えました。上場時に7762億円だった時価総額は、その後の株価急騰で大きく膨らんでいます。

4. リスク — メモリは「サイクル産業」

ただし、メモリは需給で価格が激しく振れるシリコンサイクルの典型です。AI需要が供給を上回るうちは利益が跳ね上がりますが、各社が増産して供給過剰に転じれば、価格下落で一転赤字になり得る。2024年の赤字と2026年の過去最高益という振れ幅こそが、この産業の本質です。「いまの好決算がどこまで続くか」を、需給という物差しで見続ける必要があります。

なお同社は急成長を背景に**累進配当の導入(2027年3月期から開始を検討)**を表明。「成長株」から「還元もする株」への移行が次のテーマになりつつあります。

まとめ

  • キオクシアは、東芝が発明し手放したNAND技術を受け継ぐ日本発のメモリ専業メーカー
  • AIデータセンターの「記憶」特需で、2年で赤字から過去最高益へ。世界シェアは3位。
  • 強みも弱みも「メモリ専業」に集約される。AIの追い風とメモリ市況サイクル、両面で読むべき銘柄。

出典: キオクシアホールディングス 決算短信・決算説明会資料・統合報告書2025、日本経済新聞、EE Times Japan、TrendForce、Bloomberg。 / 免責: 本コンテンツは情報提供のみを目的とし、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。

出典

一次ソース: 各社IR / SEC EDGAR・EDINET

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