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旬ニュース6分で読める2026-06-06
🔌 学習シリーズ「半導体を基礎から学ぶ」 第6回 / 全8

「チップは作れなくても、作る機械は日本」——東京エレク・アドバンテスト・レーザーテックがAIブームで効く理由

最先端AIチップを誰が作るかは派手に語られる。では「それを作る機械」を誰が握っているか、知っていますか。

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3行まとめ
  • AIブームの主役はエヌビディア(直近通期売上$215.9B、前年比+65.5%)だが、その先端チップを「作る装置」は日本勢が強い。
  • 東京エレクトロン(8035)・アドバンテスト(6857)・レーザーテック(6920)は工程の別々の急所を握り、需要が重ならない。
  • GPU・HBM(高帯域メモリ)・先端パッケージという3つのAI需要が、それぞれ別の装置メーカーに効いている構図を解説する。

AIの話題はいつも「誰が一番賢いチップを作るか」に集まります。エヌビディアの直近通期売上は$215.9B(前年比+65.5%)、純利益率は55.6%。AMDも売上$34.6B(前年比+34.3%)、メモリのマイクロンは$37.4B(前年比+48.9%)と、半導体そのものは空前の活況です。

ところが、その「最先端チップを物理的に作る機械」になると、表舞台に立つ顔ぶれがガラッと変わります。そこに日本の名前が並ぶ——東京エレクトロン(8035)、アドバンテスト(6857)、レーザーテック(6920)。今日はこの3社が「なぜ強いのか」「AIブームのどこで効くのか」を、初心者にもわかるように解きほぐします。

なぜ「装置」が儲かるのか — つるはしを売る商売

ゴールドラッシュで一番堅実に儲けたのは、金を掘った人ではなく「つるはしとジーンズを売った人」だった、という有名な話があります。半導体も同じ構図です。チップの設計・製造競争は激しく勝者が入れ替わりますが、どのメーカーが勝とうと、チップを作る工場(ファブ)には必ず製造装置が要る。

しかも半導体製造は、数百もの工程を1つでも失敗すると製品にならない超精密プロセスです。装置を一度採用すると、簡単には他社に乗り換えられない(=スイッチングコストが高い)。だから装置メーカーは、特定の工程で世界トップを取ると、長く高い利益率を享受しやすい。これが「装置が強いビジネス」の正体です。

図解
東京エレクトロン(8035)
  • ·担当: 成膜・エッチング等の前工程
  • ·強み: 工程の守備範囲が広い
  • ·AI接点: 先端ロジックとHBM量産
アドバンテスト(6857)
  • ·担当: 完成チップのテスタ(検査)
  • ·強み: テスタで世界の双璧の一角
  • ·AI接点: チップが複雑なほど検査増
レーザーテック(6920)
  • ·担当: EUVマスクの欠陥検査
  • ·強み: ニッチを事実上独占
  • ·AI接点: 微細化が進むほど不可欠
AI半導体を「作る装置」で日本3社が握る別々の急所。同じAIブームでも効き方が異なる構図(出典: 記事本文/StockCode独自テーマスコア)。

3社は「別々の急所」を握っている

面白いのは、この3社が競合ではなく、半導体製造の別々の関所を押さえている点です。AI需要が来たとき、それぞれ違う理由で効きます。

企業ティッカー担当する工程AI需要との接点
東京エレクトロン8035成膜・エッチング・洗浄など前工程の幅広い装置先端ロジック+HBM(積層メモリ)の量産拡大
アドバンテスト6857完成チップの「テスタ(検査試験機)」高性能・複雑化したAIチップほど検査が重く長くなる
レーザーテック6920EUV用フォトマスクの「欠陥検査」装置最先端の微細化(EUV世代)が進むほど不可欠

StockCodeの独自テーマスコアでも、3社はいずれもAI感応度が高めです。東京エレクトロンはAI80/自動化85、アドバンテストはAI82/自動化82、レーザーテックはAI78/自動化80。「AIブームの装置側」というポジションが、スコアにも表れています。

東京エレクトロン(8035)— 工程の広さが武器

半導体を作る「前工程」(チップを刻む工程)で、成膜・エッチング・コータ/デベロッパ・洗浄など複数分野に強い総合装置メーカー。守備範囲が広いぶん、AIで需要が伸びる先端ロジックでもHBMでも、どこかで必ず引っかかる。装置の「面」を押さえているのが強みです。

アドバンテスト(6857)— AIチップが複雑なほど効く

作ったチップが仕様通り動くかを調べる「テスタ」で世界の双璧の一角。ここがAIと相性抜群なのは、AIチップが複雑で高性能になるほど、1個あたりの検査時間が伸び、必要なテスタの台数も増えるから。チップが賢くなる=検査の仕事が増える、という素直な連動です。

レーザーテック(6920)— EUVのボトルネックを独占的に握る

最先端チップは「EUV(極端紫外線)露光」で回路を焼きます。その設計図にあたるフォトマスクに欠陥がないかを調べる検査装置で、レーザーテックは事実上ここを押さえてきました。微細化が進むほど検査の重要性は増す。ニッチですが、最先端競争の心臓部に位置する一社です。

なぜ「日本」が強いのか

理由は1日でできた話ではありません。第一に、数十年かけて積み上げた精密加工・材料・光学の技術蓄積。ナノ単位の精度を量産で安定して出すノウハウは一朝一夕にはコピーできません。第二に、装置だけでなく部材・部品まで含めたサプライチェーンの厚み。第三に、特定工程で世界シェア上位を取ったことによる「データと信頼の蓄積」——稼働実績が多いほど次も選ばれやすい好循環です。

ここで冷静になりたいポイントもあります。装置産業は設備投資(CapEx)サイクルの波を強く受けます。ファブの建設ラッシュ時は注文が殺到し、調整局面では一気に冷える。さらに半導体は地政学リスク(輸出規制など)の影響を最も受けやすい産業の一つです。「AIだから無条件に右肩上がり」ではなく、サイクルと規制の両にらみが要る業種だと理解しておくのが大人の読み方です。

まとめ

  • AIの主役はチップ(エヌビディアは前年比+65.5%成長)だが、その「製造装置」では日本の3社が別々の急所を握る。
  • 8035は工程の広さ、6857はAIチップ高度化に比例する検査需要、6920はEUVのボトルネック——同じ「AI半導体」でも効き方が違う。
  • 強さの源泉は長年の技術・サプライチェーン・実績の蓄積。一方で設備投資サイクルと地政学リスクは常にセットで見る必要がある。
  • ニュースで「最先端AIチップ」を見たら、その裏で「誰の装置で作られているか」を一段深く想像できると、業界の解像度がぐっと上がります。

本記事は情報提供のみを目的としたものであり、特定銘柄の売買を推奨・助言するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。(数値出典: 米国企業はSEC EDGAR、日本3社はStockCode独自テーマスコア)

出典

一次ソース: 各社IR / SEC EDGAR・EDINET

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