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IBMが「世界初の1nm未満」チップ技術『nanostack』を発表——0.7nm/7Åの3D積層を一次データで読み、装置・受託の勢力図を整理

2026年6月25日、IBMが『世界初の1nm未満』チップ技術『nanostack(ナノスタック)』を発表。0.7nm(7オングストローム)世代で、トランジスタを3次元に積層・互い違いに配置し、爪サイズに約1,000億個を集積(2021年の2nmの約2倍密度)。ただし『0.7nm』は世代ラベルで研究実証、量産は『早くて約5年後』。製造から撤退したIBMの恩恵が装置・受託へどう分散するかを一次情報で中立に整理します。

IBMが「世界初の1nm未満」チップ技術『nanostack』を発表——0.7nm/7Åの3D積層を一次データで読み、装置・受託の勢力図を整理
画像: "Chips on 6-Inch-Wafer 01" by Armin Kübelbeck / Wikimedia Commons, CC BY-SA 3.0
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3行まとめ
  • IBMが2026年6月25日、『世界初の1nm未満』チップ技術 nanostack(0.7nm/7Å)を発表。トランジスタを3次元に積層・互い違いに配置する設計で、爪サイズに約1,000億個を集積(2021年の2nmチップの約2倍密度)、2nm比で性能最大+50%または効率+70%、SRAM 40%スケーリング(出典: IBM Newsroom/PRNewswire, 2026/06/25)。
  • ただし『0.7nm』は物理寸法ではなく世代ラベルだとIBM自身が明記。実演されたのは完成チップではなく構成要素(極薄誘電体ボンディング・デュアルチャネル・機能するCMOSインバータ)の研究実証で、量産は『早くて約5年後』。TOPS(約9,000 vs 約7,000)など派手な数字はIBMの2媒体でも食い違う投影値。
  • IBMは2015年に量産部門をGlobalFoundriesへ売却済みで自社では作らない。恩恵は装置(名指しされたASML/Lam/東京エレクトロン/SCREEN)・ファウンドリ(TSMC/Samsung/Intel)・受託(IBM 2nmをライセンスするRapidus)へ分散する構図。StockCodeは将来の株価・売買タイミングを示しません。
この記事で学べること
  • 1『0.7nm』がなぜ物理寸法ではなく“世代ラベル”なのか(数字の誤読を避ける)
  • 2『横の微細化』から『縦の積層(nanostack/3D逐次集積)』への転換と、その意味
  • 3製造から撤退したIBMの恩恵=装置/ファウンドリ/受託へ“分散”する読み方と、投影値の切り分け
数字で見る
世代ノード
0.7nm(7Å)
物理寸法ではなく世代ラベル(IBM明記)
トランジスタ密度
約2倍
2021年の2nmチップ比・爪サイズに約1,000億個
性能 or 効率(2nm比)
+50% / +70%
性能最大+50%『または』効率+70%(同時ではない)
量産まで
早くて約5年
研究実証であり買える製品ではない
本文に登場する主要数値の早見。出典は記事末尾を参照。
AIAIまとめ
AI生成

IBMが2026年6月25日、『世界初の1nm未満』チップ技術 nanostack(0.7nm/7Å)を発表。トランジスタを3次元に積層・互い違いに配置する設計で、爪サイズに約1,000億個を集積(2021年の2nmチップの約2倍密度)、2nm比で性能最大+50%または効率+70%、SRAM 40%スケーリング(出典: IBM Newsroom/PRNewswire, 2026/06/25)。 ただし『0.7nm』は物理寸法ではなく世代ラベルだとIBM自身が明記。実演されたのは完成チップではなく構成要素(極薄誘電体ボンディング・デュアルチャネル・機能するCMOSインバータ)の研究実証で、量産は『早くて約5年後』。TOPS(約9,000 vs 約7,000)など派手な数字はIBMの2媒体でも食い違う投影値。 IBMは2015年に量産部門をGlobalFoundriesへ売却済みで自社では作らない。恩恵は装置(名指しされたASML/Lam/東京エレクトロン/SCREEN)・ファウンドリ(TSMC/Samsung/Intel)・受託(IBM 2nmをライセンスするRapidus)へ分散する構図。StockCodeは将来の株価・売買タイミングを示しません。

※ 情報提供のみを目的とした要約です。投資助言ではありません。

何が起きたか — IBMが「1nm未満」を実証

2026年6月25日、IBMが「世界初の1ナノメートル未満(sub-1nm)チップ技術」を発表しました。リリースの見出しは「IBM Debuts World's First Sub-1 Nanometer Chip Technology」(ニューヨーク州ヨークタウンハイツ発)(IBM Newsroom, 2026/06/25)。

技術名は「nanostack(ナノスタック)」。0.7nm(7オングストローム=7Å)世代にあたり、爪サイズのチップに約1,000億個のトランジスタを集積したとしています。これは2021年に発表した自社の2nmチップの約2倍の密度です(出典: IBM Newsroom)。

「ナノメートルの時代を越え、原子のスケールへと技術を押し進めている。新しいnanostackアーキテクチャでは、単に小さなトランジスタを作るのではなく、チップの作り方そのものを再発明している」——IBM ResearchのディレクターでIBMフェローのJay Gambetta氏はそうコメントしています(PRNewswire(全文))。

ただし、最初に3つの前提を押さえておきたいところです。これを外すと数字を誤読します。

  1. 「0.7nm」は物理寸法ではなく“世代ラベル”。IBM自身が「ノードは製造技術の世代を指すもので、正確な物理寸法ではない」と明記しています(配線の実際の幅が0.7nmという意味ではありません)。
  2. 買える製品ではなく研究実証。実演されたのは“完成チップ”ではなく、後述する作り方の構成要素です。
  3. 量産は「早くて約5年後」。IBMは2021年の2nmチップも、量産普及は10年近くかけてようやく——という時間軸を引き合いに出しています(出典: IBM Research blog)。

nanostackとは — 「横」ではなく「縦」に積む

これまでの微細化は、平面上でトランジスタを横に小さくする競争でした。それが物理的限界に近づいたため、IBMは発想を変えて縦(3次元)に積む方向へ進みました。

nanostackは、IBMいわく「業界初とされる3次元・ナノシート型の設計」。トランジスタを縦に積み、互い違いに配置(stack and stagger)し、「3D逐次集積(3D sequential integration)」で密度を稼ぎます。各層で異なるチャネル材料を使えるため、N型(NFET)とP型(PFET)の性能を独立に最適化できるのが肝です(IBM Research blog)。

今回“実演”されたのは、完成チップではなく次の**構成要素(building blocks)**です(出典: IBM Newsroom)。

  • CMOS集積における極薄誘電体ボンディング(ultra-thin dielectric bonding)
  • デュアルチャネル(NFET/PFET)エンジニアリングの実証
  • 期待どおりのスイッチング動作を示した機能するCMOSインバータ

IBMはこれを「nanostackが物理的に作れて、実際の計算を支えられることの証明」と位置づけています。つまり「設計図とパーツが動いた」段階で、量産チップが棚に並んだわけではありません。

図解
IBM(研究・IP)
  • ·nanostack/ナノシートの発明・特許
  • ·Albany研究アライアンス+設計(Telum/Power)
  • ·自社では量産しない(2015年に製造売却)
装置(名指しの協業先)
  • ·ASML:High-NA EUV(鍵となる技術)
  • ·Lam Research・東京エレクトロン・SCREEN
  • ·オングストローム世代で重要性が増す
製造・受託
  • ·TSMC・Samsung・Intelがファウンドリで実装
  • ·Rapidus:IBM 2nmをライセンス(2027量産目標)
  • ·150名超がAlbanyで研修
IBMは2015年に製造から撤退。nanostackの恩恵は『研究・IP(IBM)→装置(ASML/Lam/東エレク/SCREEN)→製造(TSMC/Samsung/Intel/Rapidus)』へ分散する。出典: IBM Newsroom(2026/6/25)。

数字で見るnanostack(すべてIBM公表値)

公式に開示された主要数値を整理します。いずれもIBMの公表値・投影値であり、独立に測定されたものではない点に注意してください(出典: IBM Newsroom / PRNewswire, 2026/06/25)。

指標補足
世代ノード0.7nm(7Å)物理寸法ではなく世代ラベル
トランジスタ数約1,000億個爪サイズのチップに
密度2nm(2021)の約2倍「nearly twice / roughly double」
性能 or 効率最大+50% または +70%性能と効率は“どちらか”の代替目標(同時ではない)
SRAMスケーリング40%VLSI 2026で発表

ひとつ細かい但し書きを。IBMの原文では「最大(up to)」が掛かるのは**+50%の性能側で、効率は「70%」と表現されています。そして性能と効率は同時に達成される値ではなく、設計目標としての“どちらか”**です。盛って読まないようにしたい部分です。

2021年の2nmからの距離 — IBMの実績で測る

この5年でどれだけ進んだのか。IBM自身の節目で測ると分かりやすくなります。

  • 2021年5月: 世界初の2nmナノシート(GAA)チップを発表。爪サイズに最大500億トランジスタ、7nm比で性能+45%または電力-75%。Albanyで300mmウェハー・EUVを用いて製造(IBM Newsroom, 2021)。
  • 2026年6月: 0.7nm nanostack約1,000億トランジスタ(2nmの約2倍密度)。

トランジスタの“横の微細化”を“縦の積層”で継いだ格好です。なお、IBMが2017年に発明したGAAナノシートは、その後Samsung(2022年に量産先行)、TSMC(N2世代)、Intel(RibbonFET)に採用されており、IBMの研究が業界標準の源流になってきた経緯があります(各社発表・報道)。nanostackも同じ道をたどるのか——そこが論点です。

チャートIBMの『爪サイズあたりトランジスタ数』の推移
$44$65$87$1082nm(2021)最大500億0.7nm(2026)約1,000億・約2倍
出典: IBM Newsroom(2021/5・2026/6)。単位は十億トランジスタ(爪サイズのチップに集積できる数)。数値はIBM公表値。

誰が儲けるのか — IBMは2015年に「製造」から降りている

ここがStockCode的にいちばん大事な論点です。IBMは2015年に半導体の量産部門をGlobalFoundriesへ売却しており、自社で先端チップを量産していません。では、この発表で“恩恵”はどこへ向かうのか。IBMの稼ぎ方は次のように分散します。

役割担い手中身
研究・IPIBMナノシート/nanostackの発明・特許、Albany研究アライアンス、設計(Telum/Power)、技術移転
製造(ファウンドリ)TSMC・Samsung・IntelGAA/次世代3D積層級ノードの実際の量産。IBM由来IPの実装先
製造装置ASML・Lam Research・東京エレクトロン・SCREENIBMがリリースで“名指し”した協業先。露光・成膜・洗浄など
技術移転(受託)Rapidus(日本)IBM 2nmをライセンス。2027年の2nm量産を目標、150名超の技術者をAlbanyで研修

IBMがリリースで名指しした装置の協業先はASML(High-NA EUV)、Lam Research、東京エレクトロン、SCREEN Semiconductor Solutions。とくにHigh-NA EUV(ASML)は、0.7nm/オングストローム世代を可能にする“鍵となる技術”と位置づけられています(出典: IBM Newsroom)。なお報道ベースでは、High-NA EUV装置は1台あたり約3.8億ドルとされ、Intelが初の顧客として14A(1.4nm級)の試作を2027年頃に予定しているとされます([TrendForce ほか, 2025–2026])。

つまり「IBMの発表=IBM株の話」ではありません。**装置(ASML・日本勢)/ファウンドリ(TSMC・Samsung・Intel)/受託(Rapidus)**へ、恩恵は薄く広く分散するというのが、一次情報から読める構図です。

図解露光装置の価格イメージ(報道ベース・1台あたり)
従来EUV(Low-NA)
約$1.83億
High-NA EUV(ASML)
約$3.80億
出典: TrendForce等の報道(2025)。High-NA EUVは0.7nm/オングストローム世代の鍵。価格は構成で変動する報道値で、IBM公表値ではない。

過熱に注意 — 投影値と分類ラベル

ニュースが派手なときほど、投影値(projection)と測定値(measured)公式と分析筋の解釈を分けておきたいところです。

  • AI処理性能(TOPS): IBM Research blogは「7Åチップは今日のAIアクセラレータの約6倍、約9,000 TOPS(対して現状約1,500 TOPS)」と紹介。一方、IBM Newsroom由来の報道では約7,000 TOPSとIBMの2つの公式媒体で数字が食い違っています。いずれも将来の投影値で、測定結果ではありません。
  • 学習時間: 「巨大フロンティアAIの学習が約3カ月→数週間に」というのも例示的な投影です。
  • CFETという呼び方: 技術メディアはnanostackをIBMの“逐次型CFET”と整理しますが、IBMはリリースでCFETという語を使っていません(IntelやSamsung/TSMCが志向する“モノリシック型”との対比で語られます)(IEEE Spectrum)。
  • 密度やロードマップの年数: 「約382〜548 MTr/mm²」「ムーアの法則を10〜15年延ばす」といった数字は、いずれも分析筋の推計・見解であり、IBMの公表値ではありません(MIT Tech Review)。

数字の出所(IBM公式か/分析筋か/投影か測定か)を毎回確認するのが、過熱した半導体ニュースを冷静に読むコツです。

日本への含意 — 装置とRapidus

日本にとっての接点は2つあります。ひとつは製造装置。IBMが名指しした東京エレクトロン(8035)やSCREENに加え、検査・計測のアドバンテスト(6857)・レーザーテック(6920)、後工程のディスコ(6146)など、オングストローム世代・3D積層が進むほど装置・検査の重要性は増します(ただしディスコはIBMに名指しされておらず、関わりは後工程パッケージング等を介した間接的なものです)。日本勢が「チップは作れなくても作る装置で稼ぐ」構図は「チップは作れなくても、作る機械は日本」で解説しています。

もうひとつがRapidus。IBMの2nmをライセンスし、2027年の2nm量産を目標に掲げる日本の新興ファウンドリで、150名超の技術者がAlbanyで研修を受けてきました(IBM Newsroom, 2024)。nanostackのような次世代研究が、将来どの製造パートナーに渡るのか——そこに日本の半導体再興の論点も重なります。いずれも個別銘柄の売買を勧めるものではありません。

まとめ

  • IBMが2026年6月25日、「世界初の1nm未満」nanostack(0.7nm/7Å)を発表。爪サイズに約1,000億トランジスタ(2021年2nmの約2倍密度)、2nm比で性能最大+50%または効率+70%、SRAM 40%スケーリング(出典: IBM Newsroom/PRNewswire)。
  • ただし**「0.7nm」は世代ラベルで物理寸法ではなく**、実演されたのは構成要素(CMOSインバータ等)の研究実証。量産は「早くて約5年後」。TOPSなどの派手な数字は投影値で、IBMの2媒体でも食い違う。
  • IBMは2015年に製造から撤退済み。恩恵は**装置(ASML・東エレク等)/ファウンドリ(TSMC・Samsung・Intel)/受託(Rapidus)**へ分散する。StockCodeは将来の株価・売買タイミングを示しません。

本記事は情報提供のみを目的とし、特定の銘柄の売買や投資手法を推奨するものではありません。記載の数値はIBMの公表値・投影値や各社発表・報道に基づく出典時点の情報で、独立に測定されたものとは限りません。将来の株価・業績を予測するものではなく、投資判断はご自身の責任で行ってください。

💡この記事の本質
  • nanostackは『横の微細化』が限界に近づく中での『縦の積層』。爪サイズに約1,000億トランジスタ(2nmの約2倍)はIBM公表値。
  • 『0.7nm』は世代ラベルで物理寸法ではない。実演は構成要素の研究実証で、量産は早くて約5年後。TOPS等の派手な数字は投影値。
  • IBMは2015年に製造から撤退。恩恵は装置(ASML・日本勢)/ファウンドリ(TSMC・Samsung・Intel)/受託(Rapidus)へ分散する。将来の株価・売買タイミングは示さない。
よくある質問
「0.7nm」は本当に0.7ナノメートルの幅なのですか?
いいえ。IBM自身が「トランジスタのノードは製造技術の“世代”を指すもので、正確な物理寸法ではない」と明記しています。0.7nm(7オングストローム)は世代を表すラベルで、配線や構造の実際の幅が0.7nmという意味ではありません(出典: IBM Newsroom, 2026/06/25)。
このチップはもう買えるのですか?
いいえ。これは研究実証で、実演されたのは完成チップではなく構成要素(極薄誘電体ボンディング、デュアルチャネルのエンジニアリング、機能するCMOSインバータ)です。IBMは量産への道筋を『早くて約5年後(おおむね2030年代前半)』としており、買える製品ではありません。IBMは2021年の2nmチップも量産普及まで10年近くを要したと説明しています(出典: IBM Research blog, 2026/06/25)。
IBMはこの技術でどう収益化するのですか?
IBMは2015年に半導体の量産部門をGlobalFoundriesへ売却しており、自社で先端チップを量産していません。収益化はIPライセンス、Albany研究アライアンス、設計(Telum/Power)、そしてRapidusなどへの技術移転を通じて行われます。実際の製造はTSMC・Samsung・Intelといったファウンドリが担い、恩恵は装置メーカー(ASML・東京エレクトロン等)にも広がります(出典: 各社発表・分析)。
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