どんな企業か
キオクシア(旧・東芝メモリ)は、データを記憶するNAND型フラッシュメモリを専業で手がける日本の半導体メーカーです。スマホ・PC・サーバのSSD、そしてAIデータセンターのストレージに使われる「記憶」の素を作っています。発明の源流は1987年、東芝の舛岡富士雄氏によるNAND型フラッシュメモリの発明にさかのぼります。
2017年の東芝の経営危機を機に「東芝メモリ」として分社化され、2018年にベイン・キャピタルを中心とする日米韓連合が約2兆円で取得。2019年に社名を「キオクシア」へ。そして**2024年12月18日、東証プライム市場に上場(証券コード 285A)**しました。上場延期から4年越しの再挑戦で、初値は1株1440円、時価総額7762億円でのスタートでした。
数字で読む(2026年3月期 / 連結IFRS)
| 指標 | 値 |
|---|---|
| 通期売上収益 | 2兆3376億円 |
| 売上 前年比 | +37.0% |
| 純利益 | 5544億円(過去最高) |
| 純利益率 | 約23.7% |
| 非GAAP営業利益 | 8762億円(+93.4%) |
| 前期(2025年3月期)売上 | 1兆7064億円(+58.5%) |
| 前々期(2024年3月期)損益 | 純損失 ▲2437億円 |
2024年3月期はメモリ市況の悪化で**▲2437億円の純損失でしたが、2025年3月期に黒字転換(純利益2723億円)、2026年3月期は2年連続で過去最高売上を更新しました。非GAAP営業利益8762億円は、東芝メモリ時代を含めた過去最高だった2018年3月期(4791億円)を8年ぶりに更新**しています。
なぜ伸びたのか — AIデータセンターの「記憶」特需
伸びの主因は、生成AIブームによるデータセンター向けNAND需要の爆発です。AIサーバは大量のデータを高速に読み書きするため、高速・大容量のSSDが不可欠。クラウド大手(ハイパースケーラー)からの引き合いが強まり、NANDの平均販売価格(ASP)も上昇しました。キオクシアは2026年のNAND生産能力が**すでに完売(フル予約)**と表明しています。
NANDの世界シェアはサムスン電子、SKグループ(SK hynix+Solidigm)に次ぐ世界3位。「メモリ専業」というかつてリスクと見られた構造が、AI特需では一点集中の強みに転化した格好です。生産は三重県四日市・岩手県北上の自社工場で行い、米ウエスタンデジタル/サンディスクと製造の合弁関係を持ちます。
読みどころ
ポイントはメモリ特有の市況サイクルです。NANDは需給で価格が大きく振れる典型的な「シリコンサイクル」産業で、2024年3月期の巨額赤字と2026年3月期の過去最高益はその振れ幅の大きさそのもの。AI需要が供給を上回る局面ではキオクシアの利益は跳ね上がりますが、供給過剰に転じれば一転して赤字になり得る——この上下動を理解することが、メモリ株を読む鍵になります。
なお同社は業績の急拡大を背景に、**累進配当の導入(2027年3月期から開始を検討)**を表明しています。上場から日が浅く配当はまだありませんが、「成長株」から「配当も出す株」への移行が論点になりつつあります。
独自スコア(AI 88 / 宇宙 8 / 自動化 60)は、この企業が各メガトレンドにどれだけ晒されているかの目安です。AIインフラの「記憶」を握る存在として、AIスコアを高めに評価しています。
出典: キオクシアホールディングス 決算短信・決算説明会資料(IFRS連結)、日本経済新聞、EE Times Japan、TrendForce、Bloomberg。財務データは一次ソース(同社開示)に基づきます。 / 免責: 本コンテンツは情報提供のみを目的とし、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。